ジェフ・ホフマンはなぜ打たれるのか 一発病は改善、空振り率もエリート級 課題は「スライダー」と「BABIP」

ジェフ・ホフマンが5失点大炎上

 5月30日(日本時間31日)、ブルージェイズがオリオールズに逆転サヨナラ負けを喫した。

 ブルージェイズは岡本和真の2点タイムリーなどで順調に得点を重ね、4点をリードしたまま最終回に突入。9回のマウンドを委ねられたのは、ジェフ・ホフマンだった。

 先頭のサミュエル・バサヨこそ三振に仕留めたが、ホフマンはここから大乱調を見せる。つづくコビー・メヨに死球を与えると、後続の打者3人に連続ヒットを浴びる。さらに2者連続で四球を与えて1点差に詰め寄られ、降板を余儀なくされた。

 継投したコナー・シーボルドも状況に対応できなかった。押し出し四球を与え同点に追いつかれると、つづくピート・アロンソにサヨナラタイムリーを浴びてしまった。

一時はクローザーから配置転換も

 ホフマンはメジャー11年目のベテラン右腕だ。昨シーズンはクローザーとして71試合に登板。自己最多の33セーブをマークするも、防御率4.37、7度のセーブ失敗を数えるなど安定感を欠いた。

 特に被本塁打の多さが目立ち、レギュラーシーズンでは15本のホームランを浴びた。ドジャースとのワールドシリーズ第7戦でも、1点リードの9回に、ミゲル・ロハスに痛恨の同点ソロホームランを被弾した。

 今季もクローザーとして開幕を迎えたが、ここまで28試合に登板し、防御率6.31、被打率.321と不安定なピッチングをつづけている。

 アスレチックスとの開幕戦では1点リードの9回に登板するも、シェイ・ランゲリアーズに同点ソロを被弾した。4月14日(同15日)のブルワーズ戦では2点リードの9回に登板するも、3四球を与えて同点に追いつかれた。

 業を煮やした首脳陣は、4月下旬、ホフマンをクローザーから配置転換。好調のルイス・バーランドを9回で起用し、ホフマンはレバレッジ(重圧)の低い場面で起用されるようになった。

 その後、徐々に安定感を取り戻し、5月21日(同22日)のヤンキース戦、23日(同24日)のパイレーツ戦ではセーブを記録。この日は、セーブシチュエーションとしては7試合ぶりの登板だった。

なぜ今年のホフマンは打たれるのか

 今季のホフマンが打ち込まれる理由として、スライダーの精度低下があげられる。

 ホフマンはフォーシームとスライダーが投球の6割以上を占める。特に、回転が強く、縦の変化が大きいスライダーはホフマンの最大の武器だった。しかし、球速が上昇した代わりに変化が小さくなっている。

 データサイト『ベースボール・サバント』によると、昨季は36.2インチ(約92センチ)の落差があったが、今季は34.8インチ(約84センチ)となっている。また、昨季はグローブサイドに4.3インチ(約11センチ)も曲がっていたが、今季は2.1インチ(約5センチ)しか変化していない。

球速縦変化
(インチ)
横変化
(インチ)
202587.036.24.3
202687.534.82.1
ジェフ・ホフマンのスライダーに関する推移
ベースボール・サバント』より

 この結果、ホフマンのスライダーは、被打率が.125から.324にまで上昇。被ハードヒット率も38.9%から47.1%に悪化した。

 しかし、ホフマンの場合はスライダーが悪いだけでなく、総合的に下振れをしている可能性もある。防御率に対して「xERA」や「FIP」が低い。インプレー打球がヒットになった割合を示す「BABIP」も.516と異様に高いことから、運に見放されている状態なのだ。

防御率xERAFIPBABIP
20266.312.682.60.516
ジェフ・ホフマンの各指標
ベースボール・サバント』と『ファングラフス』より

 実際に、空振り率は42.6%でメジャーでも最上位クラスに該当している。奪三振率も昨季の29.3%と比べて、今季は36.6%にまで上昇している。

 さらに、課題だった被本塁打も減っている。9回あたりの被本塁打数を示す「HR/9」は、昨季の1.99から、今季は1.05まで改善されている。

 ホフマンが本来の姿を取り戻す日は来るのだろうか。

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MLB通信編集部

大手出版社にてメジャーリーグの取材を担当し、選手分析やセイバーメトリクスに関する記事を複数発表。日本のメジャーリーグ報道に可能性を感じ、2024年に『MLB通信』を立ち上げました。