【わかりやすい】打撃指標「OPS」とは? 「打率」との違いや、見落としがちな欠点を解説

「OPS」ってどんな指標?

出塁率と長打率を足したもので、その打者の得点力がわかる

「OPS」とは

 「OPS」とは、その打者の「得点力」を示す指標だ。「On-base Plus Slugging」の略で、出塁率と長打率を足すだけで算出できる。

 「OPS」のシーズン平均は、およそ「.720」である。以下は、過去4シーズンにおけるメジャーリーグの平均値だ。

OPS
2022.706
2023.734
2024.711
2025.719
ここ数年の「OPS」の平均値
データサイト『baseball-reference』より

 「OPS」は、1984年にセイバーメトリクス研究家のビル・ジェームズ氏によって発表された。ジェームズ氏は同指標を用いて、以下のように打者を評価している。一般的に、同指標が「1.000」を超えると「リーグトップクラスの打者」「MVP級」となる。

OPS評価
.900 以上素晴らしい打者
.833 以上とても良い打者
.766 以上平均以上の打者
.700 以上平均的な打者
ビル・ジェームズ著『The Bill James Gold Mine』より

「OPS」と「打率」の違い

 これまで、打者は「打率」で評価されてきた。しかし、打率は「ヒットを打つ能力」を示しているだけで、得点との相関性は低い。

 一方で「OPS」は得点との相関性がきわめて強い。その打者の「OPS」が高ければ高いほど、チームにより多くの得点をもたらしていることになるわけだ。

 ベースボールは、ヒットの数ではなく得点を競うゲームだ。このことから、現在のメジャーリーグでは「OPS」が圧倒的に支持されているのだ。

「OPS」の見落としがちな欠点とは?

 「OPS」の欠点として、長打力と出塁力を平等に評価できない点があげられる。これは、最大値の違いによって起こるものだ。

 出塁率の最大値は「1.000」で、長打率の最大値は「4.000」である。これにより、長打力のある打者は「OPS」を稼ぎやすく、出塁を過小評価してしまうのだ。

 例として、2001年のイチロー(当時マリナーズ)とエリック・チャベス(当時アスレチックス)をあげたい。

 このシーズンの2人の成績は以下のとおりだ。

rWAR打率本塁打出塁率長打率OPS
イチロー7.7.3508.381.457.838
エリック・チャベス6.1.28832.338.540.878

 イチローはこのシーズン、打率.350で首位打者を獲得。しかし、ホームランは8本だけだった。長打率の低さが尾を引き、「OPS」はリーグ27位だった。

 チャベスはこのシーズン、32本塁打を放った。打率や出塁率はイチローに比べて低かったものの、「OPS」はイチローよりも高かった。

 勝利への貢献度を示す「WAR」はイチローのほうが高かったが、「OPS」だけを見ればチャベスに軍配があがる。このように「OPS」は長打を過大評価、出塁を過小評価してしまうのだ。

この記事を書いた人 Wrote this article

MLB通信編集部

大手出版社にてメジャーリーグの取材を担当し、選手分析やセイバーメトリクスに関する記事を複数発表。日本のメジャーリーグ報道に可能性を感じ、2024年に『MLB通信』を立ち上げました。