なぜザック・ギャレンは巨大契約を逃がしたのか? 「成績の低迷」だけではない巡り合わせのワルさ

 予想外の「出戻り」となった。ダイヤモンドバックスのエースはなぜ巨大契約を掴めなかったのか。

ザック・ギャレンが古巣と再契約

契約詳細

 2月13日(日本時間14日)、ザック・ギャレンがダイヤモンドバックスと契約を結んだ。契約内容は1年2205万5000ドルで、そのうち1400万ドルが後払いになるという。

 ギャレンはこのオフにダイヤモンドバックスからFAとなり、新天地を模索していた。移籍市場で注目を浴びていたが、交渉は難航。最終的に、1年契約でカムバックすることになった。

ザック・ギャレンはこんな選手

 ギャレンは通算66勝をあげる先発右腕だ。威力のあるフォーシームにカーブ、チェンジアップを織り交ぜ、三振を奪いまくる。

 2023年には220三振を奪い、リーグ2位の17勝をマーク。同年のサイ・ヤング賞投票では3位にランクインした。また、耐久性に優れ、過去3シーズンで550イニングを投げきっている。

予想額を下回る決着

 先発投手は常に需要があり、ギャレンのような実績のある投手ならなおさらだ。実際に、『MLB.com』のマーク・フェインサンド記者は、ギャレンは複数年契約のオファーを受けていた、と報じている。

 これまで、移籍情報サイト『トレード・ルーマーズ』は、ギャレンの契約について「4年8000万ドル(年平均2000万ドル)」と予想していた。米スポーツメディア『ジ・アスレチック』は「5年1億3500万ドル(年平均2700万ドル)」の契約を手にすると見立てていた。

 ギャレンがダイヤモンドバックスと再契約を選んだ理由は「納得のいくオファーがなかったから」に他ならない。要するに、ギャレンは市場で評価を得られなかったのだ。

なぜギャレンは評価されなかったのか

成績の低迷

 なぜギャレンは大型契約を勝ち取れなかったのか。ひとつ目の理由は、成績の低迷だ。昨シーズン、ギャレンは33試合に先発し13勝15敗、防御率4.83をマークした。開幕からピシャリとせず、前半戦を終えた時点での防御率5.40は、100イニング以上を投げた投手のなかでワーストだった。

 不振に陥った背景には、変化球の質の低下が挙げられる。昨シーズン、ギャレンは、最大の武器であるナックルカーブを打ち込まれた。2024年と比べて、被打率は.148→.219、被ハードヒット率は30.6%→44.6%にまで悪化した。

 また、被本塁打も急増した。昨シーズンに打たれた本塁打は31本で、規定投球回をクリアした投手のなかで3番目に多かった。こういったパフォーマンスの低下は、移籍市場において大きな足かせとなった。

「QO」の呪縛

 さらに、ギャレンは「QO(クオリファイング・オファー)」を拒否してFAになった経緯がある。「QO」は、FAになる選手に対して元球団が提示できる特別オファーのこと。オファーを拒否してFAになった選手と契約を結んだ球団は、ドラフト指名権の一部を失う。

 よほどのトッププレイヤーでない限り、球団は「QO案件」に手を出さない。ギャレンも例外ではなく「ドラフト指名権を失ってまで獲得する必要はない」と判断されたことになる。

ボラスが渋りすぎた

 ギャレンはスコット・ボラス氏に交渉を一任している。ボラス氏は敏腕代理人であり、クライアントに最大級の契約をもたらすことで知られる。このオフは、アレックス・ブレグマン(カブス)やピート・アロンソ(オリオールズ)の交渉をまとめあげた。

 ボラス氏は「ウェイティング・ゲーム」と言われる作戦を用いる。意図的に契約を先延ばしにし、市場価格が高騰したタイミングで一気に売りさばくのだ。

 ギャレンについても同様で、ギリギリまで交渉を粘ったはずだ。しかし、交渉を先延ばしにしすぎた結果、多くの球団が補強を終えてしまった。ギャレンの売り時や合意点を見逃してしまった格好だ。もっと早い段階で決断を下していれば、複数年契約を手にしていた可能性があっただろう。

まとめ

 このオフのギャレンは、成績だけでなく、条件やタイミングなどの「巡り合わせ」が悪かったとも言える。1年後には再びFAになる。今シーズンに圧倒的な活躍をし、市場を見返したいところだ。