メジャーを代表する総合指標「WAR」とは? イチローは通算で「60」をマーク

同じポジションのマイナーリーガーと比べて上積みできた勝利数

 WARは、そのプレイヤーの「勝利への貢献度」を示した数値である。「Wins Above Replacement」の頭文字をとったもので「ウォー」と発音する。ベースボール・リファレンス社が提供する「rWAR」とファングラフス社が提供する「fWAR」が存在する。

 WARによってそのプレイヤーが「控えの選手と比べてどれくらい勝利に貢献したか」がわかる。控えの選手とは、マイナーリーグでプレーする若手や他球団のロースターから外れた選手など「最小コストで獲得できる平均以下の選手」を意味する。

「7.7勝」をもたらした2001年のイチロー

 例えば、イチローは2001年からマリナーズに移籍し、メジャー1年目にして首位打者、盗塁王、ゴールドグラブ賞を獲得。攻守の両面で突出した成績を残し、新人王とMVPに選ばれた。

 このシーズン、イチローはWARで「7.7」をマークした。つまり、イチローは控えの選手と比較して「7.7勝」をマリナーズにもたらしたことになる。

 なお、イチローはメジャーで19年間プレーし、通算で「60.0」のWARを積み重ねた。つまり、イチローはひとりで60勝を生み出したと言えるのだ。

すべての選手を平等に評価する優良な指標

 WARはそのプレイヤーの打撃や守備、走塁、投球などのデータを細かく分析し、ひとつにまとめた総合指標である。そのため、投手や野手、守備位置の異なるプレイヤー、さらには時代の異なるプレイヤー同士でさえも公平に比較することができる。

 守備に関しては守備位置補正が適用される。例えば、遊撃は守備負担が大きいポジションとされる。そのため、遊撃手の守備評価にはプラス補正が加えられる。一塁は負担が比較的少ないポジションと考えられており、一塁手の守備評価にはマイナス補正が含まれている。

 WARは極めて優良な指標とされ、MVPや野球殿堂の投票、年俸の査定など、あらゆる場面で活用されている。セイバーメトリクスの概念が浸透した現代のメジャーリーグにおいて、WARは〝指標の王様〟と言えるだろう。