【トレード市場最前線】ナショナルズのマッケンジー・ゴアがトレードされる背景と獲得候補の3球団

 ナショナルズの若きエースがトレード市場の目玉に浮上している。12月2日(日本時間3日)、米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者は、ナショナルズのポール・トボニ編成本部長が先発左腕のマッケンジー・ゴアについて、複数の球団とトレードの協議をおこなっていると報じた。

奪三振マシーン、マッケンジー・ゴアとは

 ゴアは青天井のポテンシャルを秘める先発左腕だ。2017年のドラフトでパドレスから1巡目(全体3位)指名を受けた元トッププロスペクトで、2022年にメジャーデビュー。1年目のシーズン途中にフアン・ソトを中心とする大型トレードでナショナルズに移籍すると、以降はローテーションの中心メンバーとしてプレーした。

 特筆すべきはその三振奪取能力だ。伸びのあるフォーシームと縦に鋭く落ちるカーブのコンビネーションで三振を奪いまくり、今シーズンは27.2%の奪三振割合を記録した。

 課題は制球面で、今シーズンの与四球割合は9.4%だった。前半戦と後半戦でパフォーマンスに差が出るタイプで、過去3年間は、前半戦が防御率3.77、K/BB3.3、後半戦が防御率4.84、K/BB2.1となっている。

マッケンジー・ゴアがトレードされる背景

 ナショナルズは2019年に球団史上初のワールドシリーズ制覇を達成し、それと同時にチームの再建に踏み切った。現在のロースターには、再建期に獲得した若手が多く定着している。

 特に成果が現れているのが先発陣で、ゴアを中心に、ジェイク・アービン(2018年ドラフト入団)、ミチェル・パーカー(2020年ドラフト入団)、ケイド・カバリ(2020年ドラフト入団)といった若手投手たちがローテーションを形成している。来シーズンはDj・ハーツ(2023年トレード加入)もトミー・ジョン手術から復帰する予定で、ゴアを除いてもローテーションを維持できる公算だ。

 一方で、喫緊の課題は「打線の強化」だ。今シーズンの総得点(687)はリーグ13位で、チームOPS(.693)もリーグ12位タイだった。こういった事情から、ゴアをトレードで放出し、将来的にレギュラーとして計算できる若手野手を獲得したいというわけだ。

 ゴアはスコット・ボラス氏を代理人として雇用している。ボラス氏は契約延長に応じるケースが極めて少なく、FA市場でプレイヤーの価値を最大限に高めることで知られる。ゴアの場合も契約延長は難しく、優れた指標を維持している今が「売り時」とする見方が強い。また、ゴアは2027年のオフにFAとなる見込みで、残り2年間をリーズナブルに保有できる点も、トレードにおける大きな価値となりそうだ。

獲得に動く可能性のある3球団

 ゴアのような「奪三振能力の高い左腕」は、どの球団も喉から手が出るほど欲しいものだ。特に、以下の3球団はゴアの獲得に乗り出す可能性がある。

オリオールズ

 75勝87敗という屈辱的なシーズンを過ごしたオリオールズは、先発補強を急務とする一方で、野手のプロスペクトを豊富に抱えている。例えば、トッププロスペクトのサミュエル・バサヨは、正捕手・アドリー・ラッチマンの存在により起用プランが不明瞭な状況にある。ナショナルズなら指名打者のレギュラーとして定着できるはずだ。

ヤンキース

 ヤンキースではゲリット・コールがトミー・ジョン手術の影響で開幕に間に合わない見込みだ。クラーク・シュミットも7月にトミー・ジョン手術を受け、復帰は来シーズンの後半戦になる。先発補強を最優先課題としており、複数の野手プロスペクトを対価に、トレード市場に参入する可能性が高い。

ドジャース

 ローテーションには故障リスクの高い投手が多く、このオフも先発強化に乗り出している。マイナーに豊富な野手のプロスペクトを抱えており、起用法が不明瞭なダルトン・ラッシングも対価になるかもしれない。